おせちのお重の中で黄金色に輝く栗きんとん、商売繁盛や金運上昇の願いが込められた縁起物ですね。
さつまいもと栗で作られる栗きんとんは、誰にも人気のおせち料理のひとつです。
栗きんとんの鮮やかな山吹の花のような黄色は、くちなしの実で色付けして出しますが、くちなしの実はあまり身近にある物ではありませんよね。
栗きんとんの色づけの仕方やくちなしの実についてお伝えします。
Contents
栗きんとんの色づけってどうやるの?やらないとダメ?
栗きんとんの鮮やかな山吹の花のような黄色い色は、乾燥させたくちなしの実を使って色づけします。
くちなしは6月頃強い甘い香りを放つ、ビロードのような質感の真っ白い花を咲かせます。
花が終わると青い実が少しずつ大きくなり、冬になると朱色に熟れた実になります。
くちなしの実を乾燥させると、食品に用いられる「くちなし色素」になります。
くちなし色素は身近なところでは、沢庵を漬けるときに用いられます、沢庵が黄色いのは、くちなしの実から出た色だったのです。
栗きんとんを色づけする方法は?!
栗きんとんをくちなしの実で色づけするには二つの方法があります。
さつまいもを茹でる際にくちなしを入れる方法!
一般に用いられる方法は、さつまいもを茹でるときに砕いたくちなしの実と一緒に入れるやり方です。
- さつまいもは皮を厚めに剥き、輪切りにします、水にさらして灰汁をとります。
- くちなしの実をさっと洗い、外側の固い殻を割るか、実を砕いてお茶パックなどに入れておきます。
- 輪切りにしたさつまいもとくちなしの実を水からゆっくり茹でます。
- 茹で上がったさつまいもは、鮮やかな黄色に染まっていますね。
さつまいもを茹でる前にミョウバンで下茹ですると、色が安定し、煮崩れすることも無くなります。
くちなしでみりんに色づけしておく方法!
もう一つは、味醂にくちなしで色づけしておく方法です。
- パックなどに入れた砕いたくちなしの実を味醂に一晩漬けておく。
- 裏ごしするかつぶしたさつまいもを練り上げる際に、①を入れる。
さつまいもにくちなしの色が移り、鮮やかな色になります。
くちなしの実で色づけした栗きんとんは、鮮やかな濃い黄色に仕上がります。
もちろん、くちなしの実を使わずに、さつまいもと栗だけでも美味しい栗きんとんができます。
こちらはさつまいも本来の色の薄くやさしい黄色の栗きんとんになります。
どちらにもそれぞれに良さがありますので、作る方の好みで色づけをしても良いし、しなくても良いと思います。
栗きんとんでくちなしの実の代用ってできるの?
栗きんとんの色づけに使うくちなしの実の代用に、おすすめの物はあるのでしょうか。
くちなしの花は白く、甘いとても良い香りが特徴ですが、実の方は鮮やかな朱色で、香りも味もほとんどありません。
くちなしの実から出る黄色は、クロシンという成分です。
くちなしの実の代用品 サフラン
クロシンを含むものにはサフランがあります。
サフランも黄色の着色料として用いられていますので、栗きんとんを色づけすることができます。
しかしサフランは、魚の臭みを取ったりするのに用いられるので、独特の香りと渋みがあり、栗きんとんの色づけに使うと、好まない人もいます。
ターメリックも黄色く色づきますが、こちらは独特の風味があり、栗きんとんには向かないようです。
くちなしの実の代用 合成着色料の黄色!
また合成着色料の黄色を使えば、においも味もないのでくちなしの実の代わりになるかもしれませんが、合成着色料は健康に悪影響を及ぼす危険性がありますので、使わない方がよいと思われます。
栗きんとんの色づけには、栗きんとんの味や香りを邪魔しないように、においや風味がほとんど感じられない、自然の恵みのくちなしの実が最適です。
どうしてもくちなしの実が無い場合は、無理に代用品を用いずに、色づけをしないままで作ることをおすすめします。
くちなしの実ってどこで売ってるの?
くちなしの実はスーパーなどの香辛料やハーブ売り場で、乾燥した実が5個くらい入った袋を見つけることができます。
くちなしの実は香辛料として古くから、黄色の着色料として使用されてきました。
またくちなしの実は香辛料としてだけではなく漢方薬としても用いられてきました。
漢方薬としては「山梔子(さんしし)」の名を持ち、解熱、鎮痛、止血の効能があります。
漢方のお店では山梔子の名で求めると良いでしょう。
オンラインショップでも手に入れることができます。
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もし、庭にくちなしがあったら、自分で作ってみるのも良いと思います。
- 冬の初め頃赤く色づいたくちなしの実を摘み取り、水で洗って水分を拭き取ります。
- ざるにくちなしの実を広げ、風通しの良い日陰で乾燥させましょう。
- しっかり乾いたら出来上がりです、湿気をさけて保存しましょう。
まとめ
おせち料理の栗きんとんは鮮やかな黄金色で、お目出たい年の初めには、ぴったりの縁起の良いお料理です。
栗きんとんの色づけに使われているくちなしの実は、古くから着色料としてだけでなく、生薬としても精神安定や充血、喀血などの治療に用いられています。合成着色料と違い体に害がないので安心して使うことができます。
山吹色に近い鮮やかな黄色は、乾燥させたくちなしの実を水に漬けこんだり、煮だしたりして色づけしますが、手や服に付くとなかなか取れませんので、注意して取り扱ってくださいね。
くちなしの実は黄色の着色料として用いられますが、発酵させると「クチナシ青色素」として、青い色も出すことができますので、布などを染めるときに試してみるのも面白いですね。